久しぶりに荷風に触れる [Kafú (荷風)]

荷風カテゴリーでは3年ぶりの更新

NHKのラジオアプリ「らじるらじる」より、
永井荷風の「一日一回」(1回5分、全4話)の朗読を聞く
この作品は短編集『あめりか物語』のなかの一つで、
日本食嫌いの金田という男の身の上話
なかなか沁みる話だった
5分という時間もちょうどよい
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森鴎外に関する荷風の短文3つ [Kafú (荷風)]

青空文庫より

①「鴎外先生」
②「森先生の事」
③「鴎外全集を読む」

鴎外は荷風が慶応の先生になれるよう推挙したはず(うろ覚え)
なので鴎外に対する荷風の態度は感謝と尊敬しかない

①で鴎外の辿り着けそうにない深みを語り、
②で鴎外のことを「日本の文学を復興させた人」と書き、
③で自分が迷ったときは鴎外の作品を読む、とのこと
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永井荷風『放水路』 [Kafú (荷風)]

青空文庫より
昭和11年執筆の短文

放水路とは荒川のことで、一応戸田から葛西までの記述がある
彼がこの川辺に求めることは、
“放水路の眺望が限りもなくわたくしを喜ばせるのは、蘆荻と雑草と空との外、何物をも見ぬことである。殆ど人に逢わぬことである。平素市中の百貨店や停車場などで、疲れもせず我先きにと先を争っている喧騒な優越人種に逢わぬことである。”

そして冒頭近くに、六阿弥陀詣で、という記述がありとても気になったので調べてみた
これは阿弥陀如来のある6つの寺を巡るもので、
1番 西福寺 東京都北区豊島
2番 恵明寺 東京都足立区江北
3番 無量寺 東京都北区西ヶ原
4番 與楽寺 東京都北区田端
5番 常楽院 東京都調布市西つつじが丘
6番 常光寺 東京都江東区亀戸

このうち5番の常楽院はかつて上野にあり、現在も祠があるとのこと

近いうちに巡ってみようと思う
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『礫川徜徉記』 [Kafú (荷風)]

再び青空文庫から

これはいわば散歩日記で、掃苔(墓参り)をてこに逍遥する話。
荷風は歩きながら物思いに耽るのが好きなのだ。

(ルート)
本念寺(千石駅の近く、本郷通りからちょっと入ったところ)
→白山神社を通って蓮久寺(東洋大の近く)
→小石川植物園から伝通院の方へ、そして荷風生家のあった金剛寺坂
→江戸川橋方面の日輪寺
→新長谷寺(かつては文京区関口にあったが、今は廃寺を経て豊島区高田の
金乗院と合体)
→さらに駒留橋(現在の駒塚橋、胸突坂を降りたところの神田川に架かる橋)から
神楽坂、麹町を経て家に帰る

既に六本木の偏奇館に居を移しているはずで、
どこまで歩いたのか分からないが、なかなかの健脚である。
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久しぶりの荷風 [Kafú (荷風)]

戯れに青空文庫を覗いたら、読んでない荷風の作品が結構あった

『上野』という短文(エッセイ)
震災後の上野に会し、明治期の上野周辺について記したもの
引用が多くて若干むかついてくる
荷風は風景の移ろいとともに風情の変化にも敏感だ
根津も花街だったのだ

(cf)小林清親の版画、斎藤月岑『東都歳時記』
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『父 荷風』読了 [Kafú (荷風)]

『父 荷風』永井永光 白水社

荷風の養子である永井永光さん(荷風の従弟の大島一雄(杵屋五叟)の息子)が荷風について、
そしてご自身の人生を綴った著書
「文豪荷風と人間荷風はまったく別人だ」ということをまざまざと知ることで
より一層『断腸亭日乗』を楽しめるはず

印象に残ったのは、
縁組を結ぶとき荷風が五叟に言った言葉
永光さんを「軍人、役人、医者、教員には一切させないこと」
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『すみだ川』読了 [Kafú (荷風)]

青春時代の煩悶の話

大人へと先に変わっていく女の子と
取り残される男の子を、
同じく姿を変えていく隅田川沿いの街を背景に重ねて
抒情的に描いたお話。

この構図は、『ロリータ』や『欲望という名の電車』と
似ているかな、と思った。

気に入ったが、濹東綺譚のように再読したいとは思わないのは
青春の話だからか。
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禁酒法が施行された日の荷風の日記 [Kafú (荷風)]

禁酒法時代(1920年代)の本を読んでいた時に
ふと調べてみたくなった。

禁酒法は1920年1月16日に施行された。
日本では大正9年に当たる。
その日の荷風の日記には、
”熱去らず。昏々として眠を貪る”
と短い日記。
荷風は酔っ払いが嫌いだったらしいが、
禁酒法に賛成したとは思えないが、どうだろう。
blue nose ほど毛嫌いしそうだから。
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放水路 [Kafú (荷風)]

永井荷風『放水路』より
 
 戸田橋から水流に従って北方の堤を行くと、一、二里にして新荒川橋に達する。
堤の下の河原に朱塗の寺院が欝然たる松林の間に、青い銅瓦の屋根を聳かしている。
この処は、北は川口町、南は赤羽の町が近いので、橋上には自転車と自動車の
往復が烈しく、わたくしの散策には適していない。
放水路の水と荒川の本流とは新荒川橋下の水門を境にして、各堤防を異にし、
あるいは遠くなりあるいは近くなりして共に東に向かって流れ、
江北橋の南に至って再び接近している。

現在の新荒川大橋、川口側の下から
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『永井荷風の生活革命』読了 [Kafú (荷風)]

『永井荷風の生活革命』持田叙子著、岩波書店
荷風の作品群から新たな側面を引き出していて
とても勉強になる……のだが、
イデオロギーに近づけるのはあまり好かない
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